求人情報を見てみると、いろいろな情報が書かれています。その中でしばしば見られる用語に福利厚生や待遇といったものが見られます。ところで福利厚生と待遇の意味、なんとなく分かっていても正確な定義は知らないという人も多いのではないでしょうか？自分の希望する職場で応募するためにも、両者の違いはしっかり理解しておきましょう。
1.福利厚生と待遇の違いは対象にあり
福利厚生と待遇とはそれぞれどのような意味があるのかについて、まずは見ていきましょう。一言でいうと両者の違いは、だれを対象にしたものであるかが大きな相違点になります。
1-1.福利厚生とは
福利厚生というのは、給与や賞与のほかにも社会保険なども含めた条件を指します。対象になるのは従業員に加えて、その家族も含まれます。たとえば社会保険は、従業員とその家族が安心して仕事に専念できるような保険です。また業務用パソコンや制服の貸与を福利厚生の一種として用意している企業も多いのです。これも従業員が毎日の仕事に専念しやすい環境づくりという目的があります。
福利厚生を充実させる傾向が日本でも顕著です。これは終身雇用が当たり前だった日本産業の変化が大きく関係しています。転職するのが日本でも当たり前になり、いつまでも同じ会社でずっと働き続けるのは難しくなりました。そこで従業員が安心して仕事のできるような環境づくりを進めることで、より長く人材が定着してもらえるように福利厚生が重視されるようになりました。
1-2.待遇とは
待遇とは給料や勤務時間など、従業員を対象にした取り扱いのことを指します。時給や月給、勤務時間、有給の条件などが含まれます。求人情報をみると、「交通費全額支給」「昇給あり」「有給年間○日保証」といったことが記載されているでしょう。これは待遇に関する情報になります。給料も待遇の一種です。しかし、待遇は給料プラスアルファの職場で勤務することによって生じる、特典に関することだと考えるといいでしょう。
2.福利厚生費と給与の違いも理解しよう
一般的に福利厚生にかかった費用のことを福利厚生費、従業員の働きに対する対価が給与となります。しかし福利厚生費は非課税で、給与は課税対象である点も異なる部分です。ですから福利厚生費として計上したくてもできず、給与扱いにされてしまうものもあります。
2-1.給与と福利厚生費の違いとは？
給与は労働への対価、福利厚生費は従業員やその家族の生活環境や労働環境改善のために使われるお金のことです。また給与は課税対象になるので、従業員の給与は所得税の課税対象です。ですから企業は計算して、所得税分を源泉徴収する必要があります。
一方福利厚生費は非課税です。このため、福利厚生を充実させれば、税金の負担を気にせずに従業員に安定した労働環境を提供できるわけです。
2-2.福利厚生費として計上できる条件
福利厚生費として計上すれば非課税にはなります。しかし何でもかんでも福利厚生費として計上できるわけではありません。いくつかの条件をクリアしていないと、福利厚生費としての形状は認められないので注意してください。
福利厚生の目的に合致しているかどうか、全員に対して提供されているか、社会通念上妥当な金額か、社内規定で明記されているか、法律にのっとった基準で定められているかなどの条件があります。これらの条件のうち、どれか満たしていなければ福利厚生費として認められない可能性があります。
2-3.福利厚生費として計上できないもの
上で紹介した条件を満たしていないと、福利厚生費として認められません。たとえば報奨金です。従業員が何か会社に貢献した場合、報奨金を支払う企業もあるでしょう。しかし報奨金は従業員の労務に対する報酬と解釈でき、給与扱いになります。
商品券や記念品を支給する場合もありますが、これらも給与です。換金可能なためです。換金できない記念品の場合でも、価値が1万円超であれば給与として処理しなければならないでしょう。
また金額の多少によって福利厚生費にもなれば、給与にもなりうるものもあります。たとえば社員食堂や仕出し弁当などの食費を支給している場合、従業員が食費の半額以上を負担している、かつ企業の負担額が1人当たり税抜月額3,500円以下であれば福利厚生費として認められるのです。ただしこの条件を満たさなければ、給与扱いとなって課税対象になります。
3.まとめ
待遇や給与、福利厚生など自分たちが受けられる恩恵であるとなんとなく理解している人は多いでしょう。しかしうえで紹介したように、細かく見るといずれも該当する対象が若干異なります。求人応募する際には、今回紹介した違いを理解した上で検討しましょう。
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